会社分割の手続き・登記
Mergers & Acquisitions

企業グループの再編、業務提携、新規事業への参入、不採算事業の分離による経営効率の向上、赤字企業の再生、後継者対策、さまざまな目的でなされる会社分割の登記申請手続きを通じてサポートいたします。

会社分割の手続き・登記について
会社分割とは、企業組織再編の手法の一つで、会社の特定の事業(正確には、事業に関する資産・負債、契約関係等の権利義務の全部または一部)を他の会社に承継させることで、1つの会社を2つ以上に分けることをいいます。

会社分割には、新たに会社を設立させると同時に、その新設会社に事業を承継させる新設分割という方法と、すでに存在している会社に事業を承継させる吸収分割という2つ方法があります。

新設会社にしても、分割承継会社にしても、分割会社に対し、承継する事業の対価として株式等を交付します。
※会社分割の手法によっては、対価を交付しない場合もあります。

会社分割以外にも、特定の事業を引き継がせる方法として、他のM&Aの手法である合併や事業譲渡、特定の事業を対象とした現物出資がありますが、会社分割には、これらの手続きにはない次のような様々なメリットがあります。
●現金が不要で、消費税もかからない
事業譲渡の場合、企業間では、事業をモノとして取引するため、売買と同様に、事業を譲り受ける会社が、譲り渡す会社に、事業の対価として現金を支払い、かつ事業に関する資産の移転には消費税がかかります。


会社分割は、法的には組織再編の一つであって商取引ではありません。
吸収分割の場合、分割承継会社が分割会社に対して交付する対価は、分割承継会社の株式や、現金・社債などの財産であれば何でも構いませんし、新設分割の場合も株式や社債・新株予約権などを交付すればよく、現金は必要ありません。
また、商取引でないため、事業に関する資産の承継にも消費税がかからないというメリットがあります。


●登録免許税・不動産取得税を減免できる
事業譲渡や現物出資によって、事業に関する不動産を引き継いだ場合、不動産の所有者の名義を変更するためには、不動産の評価額に対して1000分の20の割合の登録免許税を納める必要がありますし、事業譲渡によって不動産を引き継げば、不動産の評価額に応じた不動産取得税もかかります。


会社分割によって事業に関する不動産を承継した場合、登録免許税は1000分の8の割合まで軽減される(租税特別措置法第81条1項)うえ、不動産取得税がかかりません。


不動産を売却して、資金繰りを助けたい場合、不動産そのものを売却するのではなく、新設分割の方法で不動産を新設会社に承継させ、その新設会社の株式を売却すれば、登録免許税・不動産取得税の減免ができます。
不動産の売却と株式の売却では、買主からしても、不動産の所有が直接であるか間接であるかの違いはありますが、不動産を支配できることはかわりありませんので、不動産売却前に検討する有効な方法の1つとして考えられます。


●債権者の同意・承諾は不要
事業を引き継ぐということは、プラスの資産以外にも、マイナスの財産である負債があれば、負債も引き継ぐことになります。
事業譲渡では、負債を引き継ぐためには個々の債権者の同意または承諾を必要としますが、同意や承諾を得ることは簡単なことではありません。


会社分割は、原則として、その手続きの中で、債権者対して会社分割する旨を事前に通知・公告することになりますが、個別に債権者の同意や承諾を得る必要はありません。
通知を受け、または公告をみた債権者から会社分割に異議が出た場合は個別に対応する必要がありますが、債権者を害する虞(おそれ)がない会社分割の場合は、例外的に、債権者に対する事前の通知・公告すら必要ありません。


●特定の資産や負債・契約関係を承継できる
合併も、会社分割と同じ組織再編の1つですが、会社分割と異なり、合併する会社の権利義務の全てを他の会社に承継させ、合併した会社自身は消滅する手続きのため、不必要な事業(資産・負債、契約関係などの権利義務)も含めて全てを承継させてしまいます。


会社分割は、分割契約書または分割計画書に記載された権利義務のみ承継させるため、必要なものだけ承継させ、不要なものは分割会社に残しておくことができるだけでなく、偶発債務などの簿外債務を承継するリスクをなくすこともできます。



偶発債務とは、現時点では債務ではないが、一定の事由を条件として、将来債務となる可能性がある債務のことをいいます。
例えば、他人のためにした債務保証、受取手形の裏書譲渡や係争中の裁判から生ずる損害賠償責任などがあります。



他にも、会社分割は、事業にたずさわる従業員の労働契約を包括的に承継できたり、事業のために必要な行政許認可(ライセンス)について、多くの法律が会社分割による承継を認めていたりと、メリットは様々です。


他のM&Aの手法にはない多くのメリットをもつ会社分割は、企業グループの再編、業務提携、新規事業への参入、不採算事業の分離による経営効率の向上、赤字企業の再生、後継者対策などの様々な目的で利用されます。
会社分割は、手続きが複雑だけでなく、会社分割する会社に応じて、手続き以外の法的な問題や,税務的な問題,行政許認可(ライセンス)承継の問題など、様々な項目について確認・調整が必要になります。
会社分割は,司法書士の意見のみでなく、弁護士や税理士等の専門家の意見を聞きながら手続きを進めましょう。


当事務所は、会社分割手続きを登記申請手続きを通じてサポートいたします。


どうぞ、お気軽にお問い合わせください。
平日午前9時から午後6時まで受付けいたします
ご相談いただいた日または翌日(土日祝祭日除く)には回答いたします

ご依頼いただいた場合の手続の流れ
ご依頼いただいた場合、新設分割または吸収分割の手続は、一般的に次のような流れになります。
なお、会社分割の手法・各当事会社の内容によっては、異なる点もございますので、ご了承ください。
●新設分割の場合の手続の流れ
ご依頼者には,会社の定款・登記事項証明・株主名簿・貸借対照表(B/S)などの必要書類をご用意していただきます。
分割計画書などの書類は、作成後または(STEP4の)株主総会開催の2週間前から分割の日後6カ月経過するまで、計画書などの文書を本店に備えておきます。
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※官報手配は当事務所でもおこなえます。




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※議事録の文面は当事務所でも作成できます。




登記完了後,当事務所からご依頼者に会社分割完了後の「登記事項証明書」をお渡しします。

官報とは、日本国の機関紙のことで、法令・告示・予算・人事など、政府が一般国民に知らせる必要のある事項を編集して毎日刊行している国が発行する新聞のようなものです。

●吸収分割の場合の手続の流れ
ご依頼者には,会社の定款・登記事項証明・株主名簿・貸借対照表(B/S)などの必要書類をご用意していただきます。
分割契約書などの書類は、作成後または(STEP4の)株主総会開催の2週間前から分割の日後6カ月経過するまで、契約書などの文書を本店に備えておきます。
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※官報手配は当事務所でもおこなえます。




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※議事録の文面は当事務所でも作成できます。




登記完了後,当事務所からご依頼者に会社分割完了後の「登記事項証明書」をお渡しします。
ご依頼者にご用意いただくもの
ご依頼者の方は,次のものをご用意ください。
次のものは,最低限必要になるものですので、手続きの過程でこの他にご用意いただく書面等もございます。
- 会社分割する会社の定款
会社の状態を確認するために必要ですので、現在のものをご用意ください。 - 会社分割する会社の登記事項証明書
会社の状態を確認するために必要ですので、現在のものをご用意ください。法務局で取得できます。 - 会社分割する会社の最終の貸借対照表(バランスシート)
会社の資産・負債等を確認するために必要ですので、最終のものをご用意ください。 - 会社分割する会社の株主名簿
会社の株主構成を確認するために必要ですので、現在のものをご用意ください。
- 新設する会社の代表者または役員の印鑑証明書
- 新設する会社の会社代表者印
報酬・費用
当事務所の登記申請にかかる報酬は次のモデルケースをご参考ください。
なお,会社分割の各当事会社数・規模等、会社分割による定款・役員変更等によって報酬が変動いたします。


新設分割により、新たに1社会社を新設する場合


このほか登記には、登録免許税(「新設された会社の資本金の額」×0.7%(最低3万円)+新設分割した会社について3万円、その他役員・定款変更分がある場合はその分も)が必要なほか、官報公告が必要な場合は、官報公告掲載費用が12万程度ご用意いただくことになります。
登録免許税等につきましては、お気軽にお問い合わせください。


どうぞ、お気軽にお問い合わせください。
平日午前9時から午後6時まで受付けいたします
ご相談いただいた日または翌日(土日祝祭日除く)には回答いたします
