東日本大震災で被災した建物の再取得にかかる登録免許税免除の特例
東日本大震災により被災された皆様に、
心からお見舞い申し上げます。
平成23年4月27日に「東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律」(いわゆる震災特例法)が公布・施行され、東日本大震災で被災した建物を再取得した場合の登録免許税について、免税措置が設けられました。
震災特例法には、平成23年4月28日から平成33年3月31日までの間に受ける次の登記等について、登録免許税を免除する措置が規定されています。
- 被災した建物の建替え等に係る登録免許税の免除措置 東日本大震災により住宅、工場又は事務所等の建物に被害を受けた方が、滅失した建物に代わるものとして取得等をした建物についての所有権の保存又は移転の登記
- 被災した建物に代わる建物の敷地の用に供される土地に係る登録免許税の免除措置 上記1の滅失した建物に代わる建物の敷地として取得をした一定の土地についての所有権の移転又は賃借権等の設定・移転の登記
- 再取得等のための資金の貸付けに伴う抵当権の設定登記等に係る登録免許税の免除措置 上記の建物又は土地の取得等のための資金の貸付けが行われる場合の抵当権の設定登記(登録)でこれらの登記(登録)と同時に受けるもの
※滅失には、損壊による取壊しを含みます。
震災特例法では、被災した建物の他に、船舶・航空機を再取得した場合の登録免許税についても適用がありますが、ここでは、被災した建物の再取得にかかる登録免許税の免税措置についてのみ、法務局・税務署の資料から抜粋して、ご案内いたします。
被災した建物の建替え等に係る登録免許税の免除措置
東日本大震災により住宅、工場又は事務所等の建物に被害を受けた方(建物被災者)又はその相続人、その合併法人等が、その大震災により滅失した建物又は損壊したため取り壊した建物(滅失建物等)に代わるものとして新築又は取得をした建物(被災代替建物)の所有権の保存又は移転の登記で、平成23年4月28日から平成33年3月31日までの間に行うものについては、次の要件の下、登録免許税が免除されます(震災特例法39@)。
免税対象者(建物被災者等)
免税対象となる個人又は法人 | 摘要 | |
建物被災者 | 大震災により所有する建物に被害を受けた個人又は法人 | 建物被災者であることについて、その建物の所在地の市町村長の証明書(り災証明書)の交付を受ける必要があります。 |
建物被災者の相続人等 | 建物被災者(個人)が死亡している場合のその相続人 | 建物被災者がり災証明書の交付を受ける前に死亡している場合は、その相続人がり災証明書の交付を受ける必要があります。 |
建物被災者(法人)が
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建物被災者がり災証明書の交付を受ける前に合併により消滅している場合又は分割により滅失建物等に係る事業の権利義務を承継させた場合は、その合併法人又は分割承継法人がり災証明書の交付を受ける必要があります。 |
免税対象建物(被災代替建物)
被災代替建物の所在地 | 免税の対象となる被災代替建物 | |
支援法適用区域内 | 全ての建物 | |
支援法適用区域外 | 個人が新築又は取得をした住宅用の建物 | 登記簿の表題部に記録された建物の種類が居宅、寄宿舎又は共同住宅(これらの種類に類するもの及びこれらの種類とこれら以外の種類がともに記録されているものを含みます。)とされているもの |
上記以外の建物 | 被災代替建物であることにつき、建物被災者等が行う事業のうち主たるものを所管する主務大臣の証明を受けたもの |
支援法適用区域
都道府県 | 適用された市町村 |
青森県・岩手県・宮城県・福島県・茨城県・栃木県・千葉県 | 全ての市町村 |
埼玉県 | 加須市のうち旧大利根町及び旧北川辺町・久喜市 |
新潟県 | 十日町市・中魚沼郡津南町 |
長野県 | 下水内郡栄村 |
上の表は、平成23年5月現在のものを掲載していますが、適用区域の追加状況は、内閣府ホームページでご確認ください。
免税手続(登記申請時に必要な書類)
被災代替建物の所在地 | 個人の住宅用の場合 | 左記以外の場合 |
支援法適用区域内 | (滅失建物等) り災証明書 |
(滅失建物等) り災証明書 |
支援法適用区域外 | (滅失建物等) り災証明書 (被災代替建物) 主務大臣の証明書 |
建物被災者の相続人又は合併法人若しくは分割承継法人が免税措置の適用を受けようとする場合には、上記の証明書のほか、被災者が死亡、合併、分割承継している場合の登記申請時に必要な書類を添付する必要があります。
証明書の交付申請
- り災証明書は、滅失建物等の所在地の市町村に交付申請を行います。なお、り災証明書は、建物被災者の氏名又は名称及び住所又は本店若しくは主たる事務所の所在地並びにその滅失建物等の所在地の記載があるものに限ります。
- 主務大臣の証明書は、建物被災者等が行う事業のうち主たるものを所管する省庁に、り災証明書の写し及び登記を受ける被災代替建物の詳細を明らかにする書類を添付して、交付申請を行います(具体的な申請先については、主務大臣の証明書の申請先(主なもの)をご覧ください。)。
被災した建物に代わる建物の敷地の用に供される土地に係る登録免許税の免除措置
建物被災者等が建替え等の免税措置の適用を受ける被災代替建物の敷地の用に供される土地の所有権又は地上権若しくは賃借権の取得をした場合において、当該土地(以下の 面積制限 を超えない部分に限ります。)の所有権の移転又は地上権若しくは賃借権の設定若しくは移転の登記で、平成23年4月28日から平成33年3月31日までの間に行うものについては、次の要件の下、登録免許税が免除されます(震災特例法40@)。
免税対象者
建物の免税措置の適用を受ける建物被災者等
免税対象土地
対象となる土地 | 土地の登記の時期 | |
(1) | 被災代替建物の敷地の用に供される土地 | 被災代替建物の取得の登記と同時に登記 |
(2) | 被災代替建物の敷地の用に供されると見込まれる土地 | 被災代替建物の取得の登記前に登記 |
(3) | 被災代替建物の敷地の用に既に供されている土地 | 被災代替建物の取得の登記後に登記 |
対象となる土地は、次の面積制限を超えない部分の土地に限ります。
面積制限
免税対象となる土地の面積は、次の1又は2のいずれか大きい面積が限度となります。
- 滅失建物等の敷地の用に供されていた土地の面積
- 被災代替建物の種類に応じて計算した次の面積
- 個人が再取得する住宅用の建物
滅失建物等の床面積の合計注の2倍の面積 - イ以外の建物
滅失建物等の床面積の合計注の6倍の面積
区分所有建物の場合は、専有部分の床面積(共用部分がある場合は、これを共用すべき区分所有者のそれぞれの専有部分の床面積の割合によりその共用部分の床面積を按分して計算した面積を含みます。)によります。
免税手続(登記申請時に必要な書類)
免税措置の適用を受けるためには、法務局への登記の申請の際、登記申請書に次の書類を添付しなければなりません。
添付書類 | |
免税対象(1)の土地 |
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免税対象(2)の土地 |
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免税対象(3)の土地 |
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証明書の交付申請
- り災証明書は、滅失建物等の所在地の市町村に交付申請を行います。なお、り災証明書は、建物被災者の氏名又は名称及び住所又は本店若しくは主たる事務所の所在地並びにその滅失建物等の所在地の記載があるものに限ります。
- 主務大臣の証明書は、建物被災者等が行う事業のうち主たるものを所管する省庁に、り災証明書の写し及び登記を受ける被災代替建物の詳細を明らかにする書類を添付して、交付申請を行います(具体的な申請先については、主務大臣の証明書の申請先(主なもの)をご覧ください。)。
再取得等のための資金の貸付けに伴う抵当権の設定登記等に係る登録免許税の免除措置
免税措置の適用を受ける建物又は土地の取得等のための資金の貸付け(貸付けに係る債務の保証を含みます。)が行われる場合又はその対価の支払が賦払の方法により行われる場合におけるその貸付けに係る債権(その保証に係る求償権を含みます。)又はその賦払金に係る債権を担保するために受けるそれらの資産を目的とする抵当権の設定の登記・登録については、次の建物又は土地の所有権の保存登記・移転登記等又は所有権の新規登録・移転登録と同時に受けるものに限り、登録免許税が免除されます(震災特例法39A、40A、41AB)。
- 被災した建物の建替え等に係る免税措置の適用を受ける被災代替建物
- 被災した建物に代わる建物の敷地の用に供される土地に係る免税措置の適用を受ける被災代替建物の敷地の用に供される土地
被災者が死亡、合併、分割承継している場合の登記申請時に必要な書類
被災者の相続人又は合併法人若しくは分割承継法人が登録免許税の免除措置の適用を受けようとする場合には、登記・登録の申請書に、り災証明書などの各種証明書類に加えて、次の書類を添付しなければなりません。
被災者 | 申請者 | 申請書の添付書類 |
個人 | 相続人 | 被相続人の戸籍謄本など |
法人 | 合併法人 | 合併法人の登記事項証明書 |
分割承継法人 |
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相続人又は合併法人若しくは分割承継法人は、被災者の死亡又は合併による消滅若しくは分割によって、被災者から権利義務を直接承継した方に限られ、この権利義務を承継した方から更に承継した方は含まれません。
主務大臣の証明書の申請先(主なもの)
所管省庁名 | 申請先 | 業種 |
厚生労働省 | 厚生労働省 東京都千代田区霞が関1−2−2 |
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健康局生活衛生課 〔TEL: 03-3595-2301〕 |
飲食店、理美容業、洗濯業、旅館業(登録ホテル・旅館を除きます。) | |
医政局指導課 〔TEL:03-3595-2194〕 |
病院・診療所 | |
医薬食品局総務課 〔TEL:03-3595-2377〕 |
薬局、店舗販売業 | |
医薬食品局審査管理課医療機器審査管理室 〔TEL:03-3595-2419〕 |
医療機器の販売業・賃貸業 | |
医政局経済課 〔TEL:03-3595-2421〕 |
医薬品・医薬部外品・化粧品又は医療機器の製造業、医療機器の修理業、卸売販売業 | |
農林水産省 | 東北農政局企画調整室 仙台市青葉区本町3−3−1 〔TEL:022-263-0564〕 関東農政局企画調整室 さいたま市中央区新都心2−1さいたま新都心合同庁舎2号館 〔TEL:048-740-0304〕 |
農業、林業、水産業、食料品製造業、飲食料品卸売・小売業、その他農林水産関連業 |
国土交通省 | 東北地方整備局 仙台市青葉区二日町9−15〔TEL:022-225-2171〕 関東地方整備局 さいたま市中央区新都心2−1さいたま新都心合同庁舎2号館 〔TEL:048-601-3151〕 |
建設業、測量業、建設コンサルタント、地質調査業、補償コンサルタント、宅地建物取引業等 |
東北運輸局総務部総務課 仙台市宮城野区鉄砲町1仙台第4合同庁舎 〔TEL:022-299-8851〕 関東運輸局総務部総務課 横浜市中区北仲通5−57横浜第2合同庁舎 〔TEL:045-211-7204〕 |
運輸業、倉庫業、自動車整備業、造船・舶用工業、旅行業、登録ホテル・旅館 | |
経済産業省 | 東北経済産業局地域経済部地域経済課 仙台市青葉区本町3−3−1仙台合同庁舎 〔TEL:022-221-4876〕 関東経済産業局地域経済部地域経済課 さいたま市中央区新都心1−1さいたま新都心合同庁舎1号館 〔TEL:048-600-0253〕 |
上記以外の製造業、流通業、その他の事業等 |